フランスが販売禁止にしたラウンドアップの残留基準値を厚生労働省は大幅に緩和

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発がん性があるとして安全性が問われている除草剤、ラウンドアップ(グリホサート)の販売が2019年1月15日、フランスで販売禁止になりました。

南仏リヨンの行政裁判所が「規制当局が安全上の懸念を考慮せずにラウンドアップの販売許可を出した」とする判決を下し、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は判決を受けた声明でラウンドアッププロ360の即日販売禁止を発表しました。

で、日本はどうかというと、2017年12月25日に「ひと、くらし、みらいのために」のキャッチフレーズを持つ厚生労働省が「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について」という施行通知を出しています。

ここに書かれていることは

残留農薬の基準値を大幅に緩和します。

です。

どれくらい緩和されているかというと、例えば今回フランスで販売禁止になったグリホサートは通知から一部を引用するとこんな感じです。

グリホサートを使用してよい食材のリストがあまりに多いので、びっくりするくらい増えている所だけを引用しましたが、緩和のされ方が半端なく、そばに至っては0.2ppmから30ppm。

150倍Σ( ̄□ ̄ ||

ひまわりの種子やべにばなの種子は0.1ppmから40ppm。

400倍Σ( ̄□ ̄ ||

それにしても、肉に農薬をかける必要があるのでしょうか…

どうしてこんなに大幅に農薬の残留基準を緩和したのかというと、農水省農薬検査班担当曰く

「メーカーなどから、農薬の使用方法を変更したいという申請がありました。申請された使用法でどれだけ農薬が残るかを示したデータに基づき、厚労省へ安全評価をお願いしました」

だそうです。

厚労省のお墨付きだから、日本でラウンドアップマックスロードを販売する日産化学株式会社も堂々と言い切ることができます。

ラウンドアップ製品シリーズは農水省登録を取得済みです。
国が科学的データの裏付けで使用基準を定めていますので、
人体や環境への安全性が確保されています。

なら、どうして2018年8月、米カリフォルニア州の裁判所はラウンドアップを製造、販売するバイエルに対し、除草剤の健康被害リスクについて十分に知らされていなかったと訴えた末期がんの男性に7800万ドル(約84億円)の損害賠償の支払いを命じたのでしょうか。

どうして、フランスはラウンドアップの販売を禁止したのでしょうか。

メーカーはまだまだラウンドアップを売りたいと思っています。
でも、もう欧米では売ることは困難になると思います。

だから今後、基準をどんどん緩めてくれる日本での販売が加速すると思います。

DCMでも、コメリでも、コーナンでも、ナフコでも、ラウンドアップマックスロードはホームセンターでフツーに売っています。

日本でラウンドアップマックスロードを販売する日産化学株式会社のHPに「こんなに効果的に除草できます」の写真が掲載されていますが、私はこれを見て「なんかヤバい」としか思えないのです。

世界の農薬規制の流れから厚生労働省は外れているどころか逆行していると思います。

「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について」の通知は、人々の健康よりも企業の利益を優先していると言われても仕方がないと思います。

<参照>
■厚生労働省、[平成29年12月25日生食発1225第4号]食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について(イソキサチオン、オキシテトラサイクリン、グリホサート、ジエチルスチルベストロール、シクラニリプロール、スルホキサフロル、ニテンピラム、パクロブトラゾール、フェンピラザミン、フルトラニル、ボスカリド)

除草剤ラウンドアップ、フランスで即日販売禁止に、AFP BB NEWS、2019年1月16日

■生田修平・高月太樹、大丈夫か…メーカーの要望で農薬残留基準が緩和されていた、日刊ゲンダイ、2018/11/03

除草剤で末期がんに、米裁判 モンサントに約320億円の支払い命じる陪審評決、AFP BB NEWS、2018年8月11日

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